水草を形によって分類すると、大きく四つの種類に分けられます。
一つ目は長い茎を持ち、そこから葉が生えてくる有茎型です。背丈が高くなるものが多く、その成長には大量の光が必要となります。代表的な物は、カボンバやアナカリス、アンブリアなどです。
二つ目は茎がほとんど無く、放射状に広がる葉を持つ根生型です。このような形の植物をロゼット状またはロゼット型の植物と呼びますが、水草の場合でもこの言葉を使うことがあります。アマゾンソードやアヌビアス・ナナなどが有名です。
三つ目は流木や岩、あるいは砂などに根をからませる形で成長する着生型です。流木を利用する場合には、このタイプに属するウィローモスなどを使うのが一般的です。
四つ目は水面に葉を浮かべるタイプです。これは水底に根を持つ浮葉型と、完全に浮いてしまっている浮遊型に分かれます。また、浮遊型には水面に葉を出さず、水の中を漂う物もあります。浮葉型の例としてはバナナプラント、浮遊型の例としてはマツモなどが挙げられます。浮葉型を水槽に入れる場合、真横から見るとわかりにくいという欠点がありますから、水槽自体の配置をよく考える必要があります。
このように多くの種類がある水草を一つの水槽で育てるためには、水質やCO2、肥料など多くのことに気を配らなければなりません。
背の高い水草は、ある方向から水槽を見た時、一番奥に置かれることが多くなります。いわゆる後景草です。
逆に、水槽の一番手前には前景草と呼ばれる背の低い物が置かれ、両者の間には中景草という中間サイズの物が置かれます。
順番が逆だったり、めちゃくちゃだったりすれば水槽の中身が見えなくなってしまいますから、これは仕方の無いことです。
しかし、このように配置すると、光の当たり方なども変わってきます。
そこで、水草の性質を考えて、光が当たる場所には光を当てなくてはいけない物や光に強い物を、陰になる部分にはあまり光を必要としない物や光を当てない方が良い物を、といったように、種類ごとに配置を工夫する必要があります。
たとえばアヌビアス・ナナやウィローモス、ミクロソリウムなどは比較的弱い光でも育ちますから、こうした陰の部分に配置するのに向いています。
陰だからといって何も置かないと見栄えが悪くなりますから、このような工夫は大切ですし、センスによっては単なる穴埋め以上の働きをさせることもできるでしょう。
また、この種類の水草は水質があまり良くなかったり、CO2が少ない環境でも育ちますから、あまり失敗することが無い、という特徴もあります。むしろ育ちすぎて困る、ということの方が多いかもしれません。
前景草は水槽を美しく見せるためには欠かせませんが、この種類の水草は水質やCO2に配慮しないといけないため、育成が難しいという問題があります。
前景草の中でもグロッソスティグマは水質をあまり選ばないため、比較的育成が簡単です。一部を切り取って別の場所に植えれば、そこからも増やせますし、成長も早めですから、努力を怠らなければ水槽を美しい緑で覆うことができます。
ただし、背は低いですが有茎型なので、垂直方向に伸びてしまう可能性があるという点には注意してください。
後景草としてよく使われるアマゾンソードは、アヌピアス・ナナなどと同様、誰にでも育てやすい水草ですが、思惑以上に成長しすぎてしまうことがある、という問題点も同じですから、ある程度バランスを考えて間引くなどの処置が必要です。
これで物足りなくなってきたら、グリーンロタラなどから徐々にステップアップしていくと良いでしょう。
中景草ではクリプトコリネ・ウェンティー・グリーンやそのブラウン、ブリクサ・ショートリーフなどが人気があります。
前景草と後景草の間に中景草を挟むことで、水槽の見栄えは大きく変わってきます。
水草の種類ごとの特性を考えながら、美しい景色を目指しましょう。